スズキエブリイPCリミテッドに乗り換えて2年以上経過、軽1BOXという性質上大型の荷物を積載する事も稀にありますが、広くフラットな荷室に加えフック等オプション品を付けている事もあり安心して運べます。しかし過去一度だけ想像を絶する恐怖体験をしました。それは、
助手席を荷室空間にしてしまった事ご依頼で絵画を運ぶ事になり、寸法は幅2,360mmで高さ930mm、エブリイのスペック荷室長1,955mm荷室高1,240mmは知っていたので助手席を倒せば余裕と思ってしまい、安易に引き受けてしまったのです。下の写真は当時ではありませんが、たまたま幅が半分サイズ(高さは同じ)の絵をお借りできたので、その時を再現したものです。

なかなか伝わりにくいので、絵をお預かりした方の家の一角を動画撮影してみました。今回の絵は当時のハーフサイズという事で後方視界も開け、かつバックミラーも少し見えるようにし、速度も20キロ以下で走行、安全に留意しての撮影を実施しました。
助手席側窓の視界は極めて悪く、助手席ドアミラーは頭をハンドル近くまで持っていってやっと少し見える程度。以前仕事でいすゞエルフ2tに乗った際、当然ながらルームミラーで後ろが全く見なかったので怖かったのですが、そんなレベルではありません。左側で何が起こっているのかが、通常の運転姿勢だと殆どわからないのですから。
助手席を荷室空間として活用してしまったのは、私の経験不足による過ちでした。この恐ろしさを知って以降、窓下以下で収まる安定した形の道具箱なら置く事もありますが「
助手席を頼らなければならない大きさの荷物は絶対に積まない」と決心しました。
そんな中ホンダの人気新型車N-VANのカタログを見ているとびっくりする文言が。「運転席以外の空間すべてに荷物が積める」、つまり助手席空間もどんどんお使い下さいと言っているのです。
カタログ掲載写真は上空視点で高さの違いが判りにくい手法で撮影していたり、高さの無い荷物だったり、と曖昧。メーカーの姿勢には疑問を感じます。
上空視点撮影版

高さの無い荷物版

特に罪深いのが「室内高があるので大型バイクも積めて凄い」といった事を自動車雑誌/オートバイ雑誌のweb版が自慢げに披露している事、例えば下記です。
webオートバイ CBR1000RR、CB1300SF、CRF250Lでチャレンジ!※引用
大型バイクも積載可能なN-VAN。趣味の世界を広げる道具として、とても活躍してくれそうな1台です。
モーターファン 【ホンダN-VAN】トランポ性能検証! ビッグバイクも積めるけど、原付二種のCB125Rは意外と手強い!?※引用
まずこのN-VANにはCB1300SFも楽に積めてしまった。荷台最大長2635mmのN-VANは大型バイクをまっすぐに積めるのである。
ヤングマシン ホンダ新型N-VAN(エヌバン)には大型バイクも積める※引用
N-VANの開発中にホンダのバイクの積載テストを実施したとのことだが、ライナップのほとんどが積載可能という結果に。高さの制約からアフリカツイン、350㎏という最大積載量の制約からゴールドウイング(もちろんサイズ的にも)はさすがに不可だったが、CBR1000RRやCRF250ラリーが積めたというのはトランポとしてもかなりのポテンシャルと言えるだろう。
カービュー ハイエースの牙城崩せるか! ホンダ「N-VAN」 バイクを積んでも後方確認もOK※引用
少し気になったのが、大きい車両を積んだとき、ミラーの後方視界をさえぎらないかという点。実際、運転席に乗って確かめると問題はなさそうでした。
レスポンス ライダーに朗報! 驚異的な積載力のトランポ登場…ホンダ N-VAN※引用
つまり運転席の横にはバイクの前輪がある。『グロム』や『クロスカブ』、『モンキー125』といった125ccクラスを載せてみたが、スペースにはまだまだ余裕がある感じ。これならもっと大きいバイクも入るだろう。
ホンダ 小さなクルマにバイクを載せて持ち運ぼう※引用
テールゲートからバイクを積んで、助手席側の開口部から出す。2つの開口部と低床・天高の空間を活かせば、写真のようなオフロードバイク(CRF125F)をサスペンションを縮めずに積載可能。トランポとしても使える広さが、バイクレースの楽しみ方を変えていきます。
各記事バイクを積める事を紹介したすぐ傍に「先進の安全運転支援システム、Honda SENSING標準装備」と言って安全性を紹介していたり・・・何たるトンチンカンぶり、記事書いてて違和感無いのだろうか?
webオートバイさんのCBR1000RRの積載を見ると助手席の視界がほぼ遮られており、フルカウルバイクを積むのがいかに危険かが解ります。積めるんだからOKって、誰か止める人は居なかったの?carviewさんは大型車も「実際、運転席に乗って確かめると問題はなさそうでした」と太鼓判まで押す始末。自動車系記事もオートバイ雑誌も危険を指摘する記者はゼロ、総じて大型バイクを積める事を大絶賛しています。信じられん・・・
その点、ホンダはさすがに慎重。写真掲載は後ろから積み込む姿だけを撮影、車種も選んでいて小型かつカウルなしショートホイールベースのCRF125F。モーターショーなどでの積載写真をみても、上記雑誌とは異なりバイク前輪がグローブボックスに触れる程前方へは積載せず、助手席半分程度しか占領しない様に配慮しています。

いったいホンダは大型バイクを積載する事をどのように考えているのだろうか?メーカーさんに聞いてみました。
Q1 N-VANではオートバイ積載用オプションを用意していますか?A1 ありません、タイダウンフックを利用しベルト等で工夫して積載して下さい。Q2 大型バイクやフルカウルバイクをN-VANに積載する記事を多くみかけるのですが、助手席側視界が遮られ危険と思いますが大丈夫でしょうか?A2 大型バイクは視界を遮るので絶対に積載しないで下さい。125cc等の小型バイクで視界を遮らない車種が積載出来ます。当社で確認が取れている車種は、CRF125F、クロスカブ、PCX125です。しかしCRF250RALLYはフェンダーを外す事で基準を満たしますので、フェンダーは必ず外してから積載して下さい。予想はしていましが、やっぱりか・・・ホンダはそもそも
N-VANへの大型バイク積載を禁止していた!N-VANをご検討中の方で、大型バイクを積みたいと思っている方や、助手席に大きな荷物を積む事をあてにしている方、これらはメーカーであるホンダも禁止している危険行為であり、絶対に行ってはなりません。又、道路交通法第55条(乗車又は積載の方法)違反です。N-VANを大型バイクトランポとして決して考えないで下さい。
自動車雑誌及びオートバイ雑誌各社へのお願いN-VANに大型バイクを積載する事はメーカー及び法律により禁止されています。今まで無かったタイプの車両ですから浮かれる気持ちは理解できますが、どうか危険運転を推奨するような記事は即刻削除し、訂正記事を早急に出される事をお願い致します。
ホンダさんへのお願いN-VANは大型バイクも簡単に積めるという情報が広がっています。これがいかに危険な事かはホンダさん自信がご存知のはず。助手席も荷室として使えて最大スペース長2,635mmで広さをアピールしたいのは理解できますが、対応バイクや積載時注意点などきちんと図入りで伝えて、あくまで小型バイクのトランポである事と安全に利用する方法をぜひ広報して下さい。同時に間違えた情報を発信する報道には正しい情報を提供していただけますよう、お願い致します。
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Comment
それを無粋という方がどうかと思います
実際バイクに限らず助手席を積極的に荷積みスペースとして推しているにも関わらず、荷崩れや司会を塞ぐことの危険性に留意あるいは警告する記事は少なく、建築に関わる私たちの間でもその点は強く疑念を抱いていました
本当に責任を持つメーカーであれば危険性のある使用方法を推奨する記事を放置はしないはずです
そしてそれを指摘するのは無粋でも何でもありません
絶対危ない
本当に目から鱗の貴重な情報でした。
よく考えたらわかることですが、雑誌の情報を鵜呑みにしていました。
大型バイクとか積載していたら、とてもじゃないですが左折怖くて出来ない。
実際に積載して乗ってみたいと断言は出来ませんが想像はつきます。
ありがとうございました。
多くの良識ある人はあなたに呆れたよ。
メーカー公式の安全への正しいジャッジを白黒つけてくれたのが無粋なんですか?
そんな独り善がりの自己中心的な考え方が事故を起こします。幼い子や将来のある人を巻き込んだら、どう責任を取るんですか?白黒はっきりさせないと解らないアフォがバイク記事やクルマ記事書いてるんだから、筆者さんは100パーセント正しい行動してますよ。
あるくさん、いい記事をありがとう。
グレーどころか真っ黒だってのに犯罪者かこいつ
商標登録記事はいつも興味深く見ていましたが、
今回のバイクの件はメディア顔負けのネタだと思います。
本来、ホンダさんが積極的に注意喚起した方がいいと思うのですけどね。
否定な意見もあるかもしれませんが
僕は応援しますよ
大型バイクだからとかじゃなく、積む荷物によるとしか言えないです。
大型バイクでも大丈夫な車種は大丈夫だし、ダメな車種はダメ。
運転免許持ってるなら、いちいち言われなくても解ると思います。
そもそも助手席を荷室にする事自体がNGなのだとしたら、N-VAN登場よりも前に有ったエブリィやキャリィ、アクティも全部NG。
注意喚起を装った、なんか悪意を感じる記事です。
ホンダも視界塞ぐなと、カタログとか取説に書いてますよ。
積み方次第だし荷物次第。
助手席を荷室にする事自体がのがNGなら、N-VAN登場以前からあるキャブオーバーバンは片っ端からアウトですよね。
今更な内容なのに、N-VAN名指しでこの記事書くのは、注意喚起を装った悪意を感じます。
ただ「免許を持っているなら、いちいち言われなくてもわかると思います」というのは少々違う様に感じます。大手雑誌やweb配信記事が「N-VANなら大型バイクも積めてしまう」と記事にし、危険性を指摘する記事が皆無であれば、全員ではないにせよ大半の読者は「そうか、大型バイクも積めるのか」と思い込み、誤解して購入してしまう可能性があるのではないでしょうか?
私はホンダの大ファンで1982年(高校1年生でした)に人生で初めて乗ったバイクがスーパーカブ、すっかり魅了され同年初めて購入したバイク(無理して新車をローンで購入)がMBX50Fでした。そして今、クロスカブも購入したばかりで最近も記事にしています。大好きなメーカーさん故、今回はachさんが悪意と感じる様な事も書かせていただきました。元々ホンダさんは下記過去記事の通りスズキさんの様な情報隠蔽メーカーとは異なりユーザー思いの素晴らしいメーカーです。きっと本件も適正に対応いただけると信じています。
http://ecocarecobike.blog.fc2.com/blog-entry-973.html
http://ecocarecobike.blog.fc2.com/blog-entry-777.html
真っ当な注意喚起でしかないでしょう
情報誌でバイクのような大物も積めるとかなりアピールされていたのに対して、載せたら視界を遮るものと問題のない物を具体的に載せていた物は決して多くなかったはずです
私もいろいろ読みましたがそういった注意があったか記憶にないですね 無かったとは言いませんが
助手席を使うことを問題にしているわけでもありません ただホンダや情報誌は荷室が狭くなったが助手席倒して荷室として使うなら実質的なスペースや積載量は変わらないと積極的にアピールしていましたね
そのアピールだけでは問題だと言っているわけです
これまでの軽バンは決して助手席を倒して荷室にすることを積極的に薦めていません
しかしNーVANは積極的に薦めています
それを否定するわけではないですが、そうであれば危険性を具体的に広報しなければ片手落ちです
視界を塞ぐ、荷崩れ、側面衝突、こう言った容易に想定できる危険性に触れていない事を指摘することは悪意ではなく真っ当であり、それを悪意があるという方が悪意しかないでしょうね
管理人さんがしっかり公式に質したのは消費者として有り難い事です
煽るだけ煽っておいて、『ダメ!絶対!』と言うのは如何な物かと思うな。
FFベースで寸法が足りないのだから、少し考えたら分かる事なのだけど、人間の心理と言うものは理屈で割り切れないから。
アクティベースで開発していれば問題なかったのにね。
いえいえ、客観的かつ公正な書き方を心掛けておられることはほとんどの人が認めるはずだと思いますよ
有益な情報に感謝です
大型というか、視界遮る危険性は触れてほしいですね
ホンダが軽箱商用車をN-VAN一本で行くなら他社に負ける訳にも行かず、ホンダ社内で「正確な情報を伝えなければならない窓口」と「とにかく売るために広いイメージ作りをしたい営業」の方針が一致しないチグハグな対応になってしまったのでしょうね。N-VANの広告/雑誌/web記事が今後どのようになるか?注目したいと思います。
助手席部分を荷室に使うというのは従来に無い概念、ホンダさんにはバイクのみならず適正な助手席部分荷室の使い方ガイドを一行の文書ではなく、図や動画でわかりやすく解説していただければと願っています。
視界を遮る様な荷の積み方が問題なのであって、そこまで断言してしまうと、注意喚起の範疇を超えてます。
おっしゃる通り全ての大型バイクが該当するのではなく、適合する車種もあるかと思います。例えばCRF450Rという競技用車両は全長2,183全幅827全高1,260軸距1,482で、ホンダさんが公式にフェンダーさえ外せば適合するといっているCRF250Rallyの全長2,210全幅900全高1,425軸距1,455と大差ありませんから、450ccの大型バイクでも積載可能である事が予想出来ます。しかし、どれがよくてどれがダメとは私には判断出来ませんから、ホンダさんがおっしゃっている通りの「大型バイク」という括りをそのまま引用しました。
だからと言って、速い車は危ないからってメーカーに問い合わせまでしたら、メーカーは道交法守れとしか言えないでしょ。
それと同じ事。だから不粋だって言われる。
自己責任のグレーゾーンってそう言う事でしょ。
その場合でも、助手席がフラットまで倒せるメリットは計り知れないと思います。
そんな純粋な法律違反と誰もが分かる行為で、尚且つ一切メーカーも情報誌も推奨する事はない非現実的な行為と、より日常的な話でメーカーも情報誌も推奨している中に潜んでいる危険性を同一視するとか
無粋と言いたいが為に随分無理矢理な例を引き合いに出したね
助手席スペースを視界と安全を確保した上で活用する方法については、いろいろな可能性がありそうですよね。愛車エブリイ以上の快適な移動と、車中泊が両立できるのは魅力です。